
「神戸らしさって、何だろう?」 そう聞かれて、おしゃれな港、高級ブランド街といったイメージが強いでしょう。
これらは地域と人々で育まれてきたからこそのカタチです。ではどのようにして育まれてきたのでしょうか。
ここでは神戸の都市ブランディングについてお話していきたいと思います。
すでにあるものを“見つけて育てる”という視点から、神戸らしさの本質から、これからの都市ブランディングのあるべき姿について考えていきます。
神戸が持つ「こころ」
ハーバーランドやポートタワーなど、今やおしゃれな港として人気の神戸ですが
なぜ人々が集まり、都市化していくことができたのでしょうか。
それは明治時代までさかのぼることが出来ます。
「希望」
神戸は、古くから“開かれた港町”として多様な文化や人を受け入れてきました。
1868年(明治元年)に神戸港が開港し、外国人居留地が設けられ、近代的な都市として発展しました。神戸は、日本の近代化と国際化に大きな影響を与えた都市として知られています。
日本の中でも、海外との開港にいち早く入った港で、今の近代文化を創る基になっています。
人々はみんな新しいものや人との出会いに希望を持ち、発展に力をいれていきました。
「再生」「共生」
順調に都市化が進んできた神戸。しかし災害によって作り上げてきたものは失いかけました。
1995年の阪神大震災です。
大きな喪失を受けても、それを乗り越える強い力がありました。
復興はわずか2年で進み、新しい神戸の街へと「再生」したのです。
そして、昔からある「居留地」「六甲山」は大切にしなければいけない文化と資源であり、残したまま「共生」する大切さを神戸の人々は持っています。
「らしさ」を大切に。
神戸は昔から人々が集まる盛んな場所でした。その理由には開港という航路が便利であったこと、どこよりもいち早く海外の文化を受けれてきたことが背景にあります。
そして時間の流れと主に、「希望」「再生」「共生」とこころを育んできました。
都市ブランディングと聞くと、つい“何を発信しよう”や“どう表現しよう”に意識が向きがちです。 しかし、他の都市と同じ真似をしてもきっと人々には響かないでしょう。
大切なのは、その街が昔から伝えてきた「その街らしさ」を伝えること。
もっと「神戸らしさ」を伝えていくなら、
海外の人や文化の受け入れや、新しい技術やモノを取り入れていくことが素敵だと私は考えています。
都市ブランディングは“育むこと”
都市ブランディングは、短期的なイメージアップを目指すものではなく、長くまちとともに寄り添い、育てていく営みです。
それはまるで土を耕し、種をまき、季節の移ろいを見つめるような時間。 すぐに結果が出なくても、目に見えないところで“根”が育っている── そんな感覚を、Spinning Moonは大切にしています。
おわりに
神戸というまちは、すでにたくさんの魅力を持っています。 でも、それを「どう見せるか」よりも、「どう育てていくか」を考えることが、これからのまちづくりには必要だと思うのです。
神戸の“らしさ”を、見つけ、育て、伝えていく。 その小さな循環に、私たちは静かな希望を感じています。