
1. “発信”から始めない地域ブランディング
よくある課題として、「一度きりのCMやPRイベントで終わってしまう」「効果検証がされない」「この地に寄り添ってくれる方々(関係人口)が定着しない」といった声が聞かれます。
その原因の多くは、広報を“手段”として捉え、地域の根本的な「目的」や「方向性」が定まっていないことにあります。
Spinning Moonが提案するのは、“発信”から始めない地域ブランディング。
まず、行政・地元団体・住民・外部支援者の目線を揃えた上で、地域が「何を大切にしたいのか」「誰にどんな未来を届けたいのか」を丁寧に紐解きます。そのうえで、想いを届ける方法を「内側から」共に設計していきます。
2. 実例:西粟倉村に見る「持続可能な情報発信体制」

岡山県西粟倉村では、林業再生を起点にした地域づくりが始まりましたが、注目すべきはその「伝え方の仕組み」にあります。行政とローカルベンチャー(エーゼロ社)との連携により、村の取り組みや人の営みを発信するWebメディア『Through Me』やスマホアプリ『西粟倉アプリ村民票』を運用しています。
この仕組みでは、以下のような体制が構築されています。
- 行政が直接発信するのではなく、地域に共感する民間が編集と実行を担う
- プロジェクトの裏側や失敗も含めた“共感できる物語”を発信
- アプリ登録で村外の人も“関係人口”としてつながり、寄付や参画に自然とつながる
一過性のキャンペーンではなく、「誰が・どう伝えるか」を地域の人と仕組み化することにより、村外からの支援・関心・共感が積み重なり、持続的なプロモーションの原動力になっています。
どうやって村外の人を巻き込んでいくかが「キーポイント」

初めは何もない状態から始めるのが地域ブランディング。西粟倉村の再編成の発端は、エーゼロ社でした。
そこから村への協力者を集めるために行ってきたプロジェクトとして、2015年から2021年までの6年間、エーゼロ社が運営する西粟倉村で起業する人たちを支援する村主催のローカルベンチャースクールを始めました。
フロンティア精神の高い起業家と起業のアイデアを募集し、行政と協力しながら、都心部からの移住者には移住後から地域おこし協力隊の制度を活用していきました。
これらの取り組みによって全国からは「ローカルベンチャーの村」としての認知があがり、地域創生の一歩を実現したのです。そしてスクールは一旦終了し、次は「TAKIBIプログラム」という事業創出へと向かっています。
今までは移住してもらうことを目的としていましたが、TAKIBIプログラムでは、よりよい地域の循環と雇用の拡大を目指し、村内外の多様な人々と協働することを目的としています。
このように長い月日をかけながらも持続するプロモーションが必要不可欠なのです。
3. Spinning Moonが伴走する“組織支援”とは
Spinning Moonは、「発信担当者の外注」ではなく、地域の中に“共感を育てる仕組み”を一緒に作る存在です。具体的には、以下のような支援を行います。
- 地域の「らしさ」や「目指す未来」を言語化するワークショップの設計と実施
- 行政の皆さんとご一緒に、まちの魅力をやさしく伝えるための伝え方・仕組みづくり
- 「誰が どんなふうに 伝えていくか?」を一緒に考え、伝える人が育っていく仕組みをつくる
- 市民・事業者・行政が肩を並べて取り組める“つながりのかたち”を共につくる
たとえば西粟倉村の事例のように、発信力のある若手が地域に移住し、行政や企業と連携しながらストーリーメディアやアプリの運用まで支援します。
地域側だけでなく、外部人材側も「自分の居場所がある」と思える関係づくりに努め、その“関係性の土壌”から一緒につくります。
また、地域の魅力を深く掘り下げ、記事化・映像化・イベント化していくプロセスにおいては、「一人の発信者」ではなく「チーム」として動く支援体制を重視します。
一例:
- 移住者と行政職員が共に企画する広報座談会
- 地元の学生・主婦・事業者などを巻き込んだ発信チームの育成
- 外部ライターが一時的に入るのではなく、地域に“編集視点”を残すための研修
私たちは、ひとつの投稿や映える動画を作ることよりも、「地域の声を自分たちで発信できるようになる」ことを重視しています。
4. まとめ:地域の“未来を伝える力”を、地域の中に育てる
行政や関係者だけでは届かなかった声も、仕組みと役割分担、そして共感を軸にした発信体制が整えば、地域の外と深くつながる力になります。
私たちSpinning Moonは、外からコンテンツを提供するのではなく、「あなたたちの言葉で、あなたたちの想いを発信できる地域」になるまで、横に立ち続けます。
一過性ではなく、持続可能で、本質的な“関係を生む広報”を。共に描きませんか?